【シリーズ 第1回】眼鏡で人を幸せにできるのか? ~私がこの問いを抱えた理由~
こんにちは。仲西眼鏡店 四代目の仲西です。
今回から、「眼鏡で人を幸せにできるのか?」という問いを軸に、私自身の歩みや出会い、
そして眼鏡づくりに込めている想いを綴っていくシリーズを始めます。
この問いは、格好をつけたいから生まれたものではありません。
むしろ逆で、“不幸なお客様を作ってしまうかもしれない” と感じた、ある出来事から始まりました。
■ あるお客様のひと言から
私は10歳の頃から眼鏡と共に生きてきました。
そして27歳を過ぎた頃から、店頭で接客を積み重ね、眼鏡屋としての経験をひたすら積んでいた時期があります。
その頃に起きたのが、今でも忘れられない出来事です。
あるお客様が、購入から3ヶ月ほどで眼鏡を折ってしまいました。「交換してほしい」というご相談でした。
眼鏡屋ではよくある話なのですが、交換用のパーツがメーカーに無く、同じ色での対応ができない。
違う色での交換なら可能、という状況でした。
当然、お客様が納得できるはずもありません。
「製造上の問題があって壊れたのではないか?」
そうおっしゃったので、私もその可能性を含めてメーカーに調査を依頼しました。
私が知りたかったのは、原因です。
例えば、
・金属に5キロの負荷が掛かって折れたのか
・通常より繊細な設計で、3キロ程度でも折れるものだったのか
・どこにリスクがあったのか
そういう “説明できる答え” が欲しかった。
ところが返ってきたのは、
製造工程に関わった会社を10社近く当たっても「うちの責任ではない」という返事ばかりで、
結局、“なぜ、どうして壊れたのか” は誰も説明してくれませんでした。
正直、私自身もとても残念でした。
メーカーにも了承を得て、その回答をそのままお客様に伝えました。(もちろん、できる限りのフォローはしました)
当然、お客様が納得できるはずもありません。
そして取扱店である私たちにも、どうすることもできない空気が漂い始めました。
そのとき、お客様がポツリと言ったんです。
「何故、眼鏡屋さんは眼鏡を作らないのですか?」
■ 眼鏡店はフレームを “作らない” という構造
一般の眼鏡店はフレームメーカーから仕入れて販売します。
メーカーによって異なりますが、多い所で年に100近いモデルが新たに生まれ
1年経つとその半分近くは再生産に回らず、廃盤となる事が多いです。
そのため、パーツが限られることも起こり得ます。
眼鏡店側からすると“業界の常識”でも、
お客様からすると そんな事情は関係ない。
目の前の「困った」に、今すぐ答えてほしい。ただそれだけだったと思います。
「何故、眼鏡屋さんは眼鏡を作らないのですか?」
そう言われても仕方がないと思いましたが
その言葉に、私はハッとしました。
胸の奥をまっすぐ突かれたような感覚。
・作っていないから、責任の所在が曖昧になる。
・作っていないから、最後にお客様を守れない瞬間が起きる。
・作っていないから、“説明できない不安” だけが残る。
そして何より、私は思ったんです。
「もう、こういう不幸なお客様を作りたくない」と。
■ 手作りへ
そこから私は、「手作り」を始めました。
自分の手で作り、自分の言葉で説明し、自分の責任でお客様を守れる眼鏡を作りたいと思った。
この出来事が、私の中で
「眼鏡で人を幸せにできるのか?」という問いが “本物” になった瞬間でした。
見える・見えないだけじゃない。
安心できるか、納得できるか、信頼できるか。
それも含めて、眼鏡で人を幸せにするのかもしれない。
次回は、この問いをさらに深めるために私が取り組んだ「アイケア」という視点について書いてみようと思います。
それでは、また。
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