「仲西眼鏡店・四代目の綴る“ものづくりの哲学”」
こんにちは、仲西眼鏡店 四代目の仲西です。
これから月に2回ほどのペースで、私の気持ちや想いをブログに綴っていこうと思います。
最初に伝えたいのは「手作り」のこと。
私は趣味として表千家の茶道教室に通っています。
茶道歴は4年目になりますが、諸先輩方からするとまだまだ未熟で、日々学ばせていただいています。
茶の湯でよく表現される言葉で「侘び寂び」という日本独特の美意識について良く教えて頂いてますが、自分の眼鏡の手作りにも繋がってると感じています。
侘び寂びとは儚さや不完全さの中にある「美しさ」
完璧で無いからこそ、そこに人の手が感じられる。
だからこそ、愛おしい。と、私は感じています。
陶器の歪みや木の節目の揺らぎ。
均一でないからこそ美しく、同じものが二つと存在しない。
それが「手作り」の力であり、自然がもたらす造形美なのだと、改めて感じています。
眼鏡もまた、“道具”を超えたアートです。
私たち仲西眼鏡店が作る眼鏡も、決して工業製品ではありません。
1本1本、お客様の顔に合わせ、暮らしに寄り添い、その人の“人生”をかけて向き合っていく「手作りの眼鏡」です。
完璧な直線ではなく、わずかな曲線に“体温”が宿る。
時間をかけて削ったフレームに、道具の跡がほんのり残ることもあります。
でもそれこそが、「あなただけの眼鏡」として息づいていく証。
同じように見える眼鏡でも、よく観察すると微妙に違います。
その“不完全さ”〜それこそが、心に深く触れるものだと感じています。
「人が人を愛するのは、完璧だからではない」
お互いの不完全さを受け入れた時、共に歩み、支え合いたいと願う気持ちが生まれる。
私はそこに“愛”の本質があると感じています。
私たちが眼鏡を作るときもそう。
お客様の目の悩みや不安と向き合いながら、そこに寄り添っていく。
その人の“らしさ”を、眼鏡を通じて表現する。
その作業は、まるで“これからの人生を映す小さなアート”を作っているようにも感じます。
これからの時代だからこそ、手の温もりを。
AIが絵を描き、文章を綴り、眼鏡すらも3Dプリンターで作れる時代になりました。
もちろん、それも一つの進化だと思います。 でも、私たちが忘れてはいけないのは
「誰が、どんな想いで作ったのか」ということ。
私たち仲西眼鏡店は、これからも“人の手で作る眼鏡”を大切にしていきます。
完璧でなくても、そこに“魂”が込められている眼鏡を。
最後に。
このブログが、ほんの少しでも誰かの心に届いて、
「ものを大切にする」という感覚や、
「誰かの想いに気づける、やさしい目でいられたらいいな」と思っています。
次回は、“見えすぎない眼鏡”について書いてみようと思います。
それでは、また。
仲西眼鏡店 四代目 仲西正義