こんにちは。仲西眼鏡店 四代目の仲西です。
今回は「見えすぎない眼鏡」についてお話ししてみたいと思います。
前回のブログでは、“手作り”の美しさについて綴りましたが、今回のテーマは一見すると逆説的に感じるかもしれません。
私たちは普段、当たり前のように「よく見える眼鏡=良い眼鏡」と考えがちです。 でも、実は“見えすぎる眼鏡”が、身体に大きな影響を及ぼしていることがあるんです。
■ 五感と身体のバランス
人の身体は、味覚・嗅覚・触覚・聴覚・視覚という五感を通じて、バランスを取りながら日常生活を送っています。 その中でも、視覚は最も情報量が多く、脳への入力が非常に強い感覚です。
この“視覚から入ってくる情報”が、本人の許容範囲を超えてしまうと、身体はどうなるか?
答えは――踵足重心になります。
かかとに重心が乗ることで、腹部が前に出て、背中が丸まり、首が前に倒れ、いわゆる猫背やストレートネックのような状態を引き起こしてしまうのです。 スマートフォンを長時間見るときの姿勢を思い出していただけると、イメージしやすいかもしれません。
■ 見えすぎる眼鏡がもたらす影響
“見えすぎる眼鏡”をかけると、本人の感覚が過敏な状態になり、自然とかかと重心に傾いてしまいます。 人それぞれに「視覚の許容範囲」がありますが、そのラインを越えてしまうと身体のバランスが崩れるのです。
特に、右目だけが強く補正されていると、右足側だけが後方に捻れてしまい、 右足や右腰に負担が集中することもあります。
私自身、腰椎ヘルニアを患っていた経験があり、常に腰の張りを感じていました。 前屈がしにくくなるなどの不調があったのですが、今振り返ってみると、視覚と身体の関係が大きく関わっていたのだと思います。
■ 「見えすぎない眼鏡」がもたらす身体の変化
では、逆に“見えすぎない眼鏡”をかけた場合、身体はどう変化するのでしょうか?
度数を強くしすぎず、目の力を活かしながらバランスよく調整した眼鏡は、 身体の重心を中心に戻してくれる効果があります。
すると、腹部が前に出にくくなり、背中の丸まりも軽減され、 首の前傾も抑えられていきます。
人間の頭は4〜6kgほどの重さがあり、それが前に傾くことで首にかかる負担は25〜30kgにまで増えると言われています。
つまり、首の角度を正すだけで、肩こりや頭痛、背中や腰の緊張を和らげる助けになるということです。
■ あなたにとって本当に“楽な眼鏡”とは?
お客様の「見たい距離」に合わせて、目の力を活かしながら調整された“見えすぎない眼鏡”。
それは、視力だけでは測れない「生活の質」や「身体のバランス」に深く関わってくるものです。
肩こり、頭痛、腰痛、背中の緊張、身体の歪み―― もし思い当たる症状があれば、一度「見えすぎていないか?」を見直してみるのも良いかもしれません。
また、身体と目の関係に詳しい眼科医の先生をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までご紹介いただけると幸いです。
次回は、私が過去に自分自身へ投げかけた問い―― 「眼鏡で人を幸せにできるのか?」について、綴ってみたいと思います。
それでは、また。